●2008年6月
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かれーん、私の靴下知らないー? | |
………。 | |
ねぇかれん、ヴィデオの予約ってコレでいいのかしら? | |
…………。 | |
かれんさんや、メシはまだかのう。 | |
……………。 | |
…ねぇ、かれん?おーい。 | |
もう、うっさいなぁ!放っておいてよ! | |
きゃあ、かれんが! | |
普段温和なかれんがこんなにカリカリして! コイツはまさか…! |
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せ、赤飯、今夜は赤飯炊かなきゃ! | |
フツーは反抗期とか言うところじゃないの!? 良いから、今日はそっとしておいて。 |
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なんか、虫の居所が悪いみたいだな…。 | |
そりゃそうよ、何しろ海外からわざわざパパとママが送ってくれた お人形、みそかちゃんに壊されちゃったんですもの。 |
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事情通だなおい!てか分かってて絡んでたのかよ! そりゃ余計ヘソ曲げるよ! |
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かれん?みそかちゃんもわざと壊したわけじゃないと思うの。 だから許してあげたら…ね? |
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………。 | |
今日の今日じゃそりゃ気持ちも整理付かないかもな。 | |
お、誰彼構わずつっかかるつきひさんの貴重なご意見。 | |
そんなに敵多くないよ!あたしゃ事なかれ主義だよ! | |
かれん?みそかちゃんを切り捨ててもいいけど、晩ご飯はお願いね? | |
最低だな、姉よ。 | |
びぇ〜、びぇ〜ん、びぇ〜ん…。 | |
なに、どうしたのあんた達。屋根があるベンチッたって公園じゃ汚れるわよ。 …鼻炎なの? |
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あ、とっきー。雨の中なのに全く濡れずに颯爽と登場。 | |
私をとっきーと呼んで良いのはこよみセンパイだけだぁ! | |
ごめっ、ごめんなさい!雨水弾かないで、地味にうっとおしい! いえ、この子が突然私を呼び出して、何かと思ったら泣き出しちゃって…。 |
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…濡れ場、か…。 | |
違いますよ!てか今とつきさんが私を濡らしたんじゃないですか! そりゃときどきみそかも可愛いけど、私は基本的につきひさん一筋…! |
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その言い方だと例外があるのかしら。まぁ良いわ、出くわしたのも縁。 ねぇ、みそか、訊いて良い? |
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…ひっく…ぐず…。…ばい゛? | |
何で私じゃなくてこいつを先に呼び出したの…? | |
ひっ!ご、ごめんなさい! | |
気懸かりはソコかよ!だってとつきさん、ケータイ持ってないじゃないですか! | |
あんなせせこましい機械なくたって、ちょっと念じれば三々五々に駆けつけるわよ。 | |
三々五々の用法がおかしい気がしますけど。とつきさんが受信できても こちらは発信できないんですから。…ほら、理由をお話しなさい。 |
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う゛っ…ぐす、が、がれんぢゃん、う、人形…壊じで…あだぢ…。 | |
ふむふむ、かれんちゃんを人形のように弄んで、とうとう壊してしまったと。 | |
…ちょ、そのシチュ、つきひさんに置き換えて妄想して来ていいですか? | |
あんた今はツッコミ役なんだからもうちょっと自制しなさいよ。 腑に落ちないわね、それくらいであのかれんちゃんが怒るとは思えないけど。 |
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そりゃ心を壊されちゃったら怒るも何も。 | |
…そろそろソコから離れなさい、変えるわよ? | |
ごめんなさい。 | |
…かれんさんの大事な人形だったんです、お父様とお母様から貰った…。 でも、あたしの不注意で壊してしまって…。 |
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なるほどねー。でも、わざとじゃないんでしょ?じゃ、あの子なら許しそうだけど。 | |
…私、そんな大事な物だって知らなくて… 「そんな変な人形より、もっと可愛いの買ってあげるから」って…。 |
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…変な人形なの? | |
タイから送られてきた産地直送のブードゥー人形だそうです。 | |
あら、可愛いじゃない。 | |
そりゃあんたならな。 | |
そんなコトかー、つまんないの。じゃ、あたし帰るから。 | |
変えないでっ! | |
「変えるから」じゃなくて。 | |
でも、つまんないはないんじゃないですか?この子には大切な…。 | |
はいはい、だって結末が見えてるんだもの。…あ、小降りになってきたわね。 みそか、こんなコトワザ、知ってる? |
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………? | |
雨降って、じじいが溜まる。 | |
ボキャ天かよ。 | |
………ご飯、作る…。 | |
お、ちょっと落ち着いたみたいね。あたし麻婆豆腐が良いー。 | |
あたしは麻婆茄子ー。 | |
ちょ、あんたは麻婆は遠慮しなさいよ。 | |
お姉ちゃんこそ豆腐は遠慮しろよ。 | |
豆腐は被ってないでしょうが! | |
……今日は青椒肉絲だから。 | |
はい。 | |
………で、その壊れた人形はどこにあるの?直せば機嫌も多少は…。 | |
それが分からんのです。本人も激昂してみそかちゃんの前から走り去ったらしく、 どうなったか確認してないって…。 |
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…まぁ、あんな気色悪い人形、誰も触らないとは思うけど…。 | |
あら、そう?あたしは可愛いと思ったけど。 | |
あんた、後輩と良いカップルだよ。 | |
ぴんぽーん。 | |
あら、お客さんね、はいはい、かれんは今料理中だから私が出ますよー。 | |
誰が来たか分かっているような口振りだな…。 | |
………。 | |
つきひっさーん!お久しぶりですぅ!相変らずぷにぷにしてましたぁ? | |
わあぁ陽鳥!何でお前だ!久しぶりって、数時間前に別れたばかりだろうが! てかぷにぷにとか言うな最近気にしているんだから! |
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うん、ちゃんとぷにぷに。 | |
つ、つまむなぁ! | |
そのコは付き添いみたいよ。本命は想像通り、こっち。 | |
………あの、かれんちゃん…。 | |
………。 | |
かれんはピーマンの細切りに夢中みたい。また今度ね。 | |
いやいやいや意識的に相手してないだけだろ! かれん、向こうが覚悟決めてきたんだ、ちゃんと向き合いなさい。 |
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……つきひ姉、続きやっといて。 | |
あ、あたしは包丁とか苦手で…! | |
つきひさん、あたし手伝います!こっそり麻婆茄子にしちゃいましょう! | |
もう遅いよ!ってかなんであたしのリクエスト知ってるんだ!? | |
……ほら、みそかちゃん。 | |
あ、あの…かれんちゃん、さっきは、その…。 | |
…何? | |
ひっ! | |
おぉ、かれん、本気出すと結構怖い! | |
ご、ごめんね!そんなに大事なものだとは知らなくて…! こ、コレ! |
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…これ、人形…。 | |
直してみたの…ちょっと首が傾いて、おかしな体勢になっちゃったけど… こ、コレはコレで可愛いかなって…。あ、あとねあとね?この首のスカーフ 付けてみたんだ、私のハンカチ、この柄なら似合うかなって…。それでね…。 |
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…………。 | |
……あの、かれんちゃん…? | |
……ぷっ……。 | |
…! | |
ちょ、なにコレ、ほとんど真後ろ向いてるみたい、ありえないよー!? ハンカチも、髑髏柄って、似合ってないし! |
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いや、ソレは似合ってると思う。 | |
てか、そんなの持ってたんですねみそかちゃん…。 | |
あははははははは…あぁ、可笑しい…! | |
あの…かれんちゃん…。 | |
…ありがとう、ごめんね…? | |
……じゃあ…! | |
指、大丈夫?こんなに絆創膏して。消毒液塗ろうか、向こうにあるの。 | |
あ…へへ、気付いてたんだ。まだまだ針仕事は苦手で。お、お願いします…。 | |
あらら、随分とスピード解決ね。めでたしめでたし。ご苦労様、陽鳥ちゃん。 | |
いえいえ、私は連れてきただけですから。仲直りしたい同士を くっつけるなんて、大した労力じゃございませんよ。 |
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まったく…平和な子達ねー。 | |
……あの、結局、夕飯当番はあたしに押し付けられたまま…? | |
こよみセンパイを壊してお人形にしちゃうの、コレってチョー良くない? | |
その前にあたしがお姉を壊すよ…。 | |
えへへ…パパとママと、みそかちゃんが入った、あたしの大事なお人形。 |
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